唐突に始まって唐突に終わる物語

一人で昼飯を食べる羽目になった。
いろいろあってそうなった。
しかたなく教習所の近くにあるマクドかラーメン屋に行こうと思い教習所を後にした。
別にコンビニでおにぎり買って教習所で食べるという選択肢もあったが、
絶対「あら可哀想な子」という目で見られるのでやめた。
そもそも私は食事は基本一人で食べたい派だ。

より近くにあったマクドを覗いてみた。
席は空いている、が女子高生が5人ほどいる。
ダメだ。私には入ることができない。
あの目だ。あの「あら可哀想な子」という目が都合10個襲ってくるのだ。
想像しただけで反吐が出る。
おまけに店の前面がガラス張りだ。
通りかかった人の視線にも襲われる、そんなのは耐えられない。

私はマクドを後にしてラーメン屋に向かった。
駐車場には5台ほど車が止まっている。
明らかに家族連れだ。
外から窓越しにのぞいてみたがファミリーばかりだ。
そこに私が入っていけばどうなる?
「ママー、あの人どうして一人なの?」
「だめよ、見ちゃダメ」
そう、私に入れるわけがない。
子供の無邪気さは私にとっては凶器になるのだ。

引き返そう。
そう思い振り返ると黒いコートを着たオッサンが立っていた。
「逃げるのか」
そう私に問うてきた。
「しかたないじゃないか。私はあの目と無邪気さに耐えられない」
「フッ。貴様はとんだチキンだな。いや、貴様は人間である以上飛ぶことはできない。
つまり飛べないチキン、チキン未満だ。」
私は愕然とした。
そうだ、鶏も多少は飛ぶことができる。
しかし自分は飛べない。
つまりここで引き返せば私はチキン未満なのだ。
私が絶望にうちひしがれているとオッサンは
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